ドライブレコーダーの重要性

ドライブレコーダーを装着しましょう。
あおり運転や交通事故の証拠として記録を残すために、ドライブレコーダーを設定するドライバーが増えています。ドライブレコーダーを装着しようと考えるドライバーが増えている一方、ドライブレコーダーの有効性がわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回はドライブレコーダーを取り付けるメリットについて紹介していきます。

ドライブレコーダーの装着率

ソニー損害保険株式会社は2022年に自動車を運転する18~59歳の男女に対し、アンケートを実施し1,000名の有効回答を得ました。
その結果からドライブレコーダーの搭載率は49.3%となっており、昨年の調査から6.3ポイント上昇となり、ドライブレコーダーの普及率は年々高まっているようです。
続いてドライブレコーダー選びについては「価格」を重視する人が54.2%と半数以上を占め、「画質」「前後の記録ができる」「全方位の記録ができる」「夜間の撮影が可能」と続きました。
価格帯では10,000~20,000円未満(19.2%)、20,000~30,000円未満(13.2%)の回答が多く、「覚えていない・わからない」を回答した人を除くと平均は23,052円でした。

ドライブレコーダーの装着義務と補助金について

国土交通省では2016年1月のスキーバス事故をきっかけに、2017年2月より貸し切りバスへのドライブレコーダー装着を義務化しています。また、装着に当たりドライブレコーダーの性能や取り扱い、乗務員への安全指導について詳細を定めています。
それに伴い、バスやトラックなどの運転事業者向けに、国土交通省や自治体によって助成金や補助金制度が設けられました。
一方、一般の車に対しては、ドライブレコーダーの装着義務はありません。しかし、将来的には義務化される可能性があります。
また、発生した事故を正しく証明する意味でもドライブレコーダーは重要となっているため、取り付けたほうがいいでしょう。ドライブレコーダーを選ぶポイントは視野角と解像度です。
視野角とは映像できる範囲のことで正面のみのものあれば、180度撮影できるものなどさまざまあり、視野角が広いものほど高額になります。視野角が狭いと角度によっては映っていない場合もあるので視野角の広さが重要なのです。
解像度は映像も見やすさのことで、解像度が低いとナンバープレートの数字が判別できず、証拠として使えない事態がありえるので、解像度の高さも重視しましょう。
ドライブレコーダー装着について、自治体によって補助金制度が受けられる場合があります。募集期間や補助内容は自治体によって異なるので、管轄の自治体を確認してください。

ドライブレコーダーには実際どのくらい証拠としての価値があるのでしょうか疑問に思われる方はいるかもしれません。結論から申し上げますと、ドライブレコーダーには証拠能力があります。

裁判ではドライブレコーダーは客観証拠として極めて重要性の高い証拠として取り扱われます。
裁判所は運転手による人的供述よりも、警察作成の実況見分調書や自動車の損傷痕などの客観的証拠を重視する傾向にあるからです。ドライブレコーダーは事故発生前後の道路状況を機械的に録画した映像であり、客観的な証拠として価値が高いと考えられます。

ドライブレコーダーの映像が証拠となるケース

当て逃げやひき逃げ

交通事故が起こった場合、交通事故の当事者が必ず現場にいるとは限りません。交通事故の加害者が現場に残らない当て逃げやひき逃げの場合、被害者の証言だけで犯人を捜すのは困難です。
しかし、被害者の車にドライブレコーダーが搭載されている場合、ドライブレコーダーに記録された映像が、証拠として残っている場合があります。当て逃げやひき逃げされた場合、ドライブレコーダーに映像が残っているか確認しておきましょう。

当事者同士の意見が食い違っている場合

交通事故の当事者同士で意見が食い違うケースはよくあることです。信号の色やスピードなど、両者の意見が一致しないケースが多く、警察や保険会社でも確認は困難です。
信号の色やスピードによって、過失割合が異なり、支払われる慰謝料も変わってきます。ドライブレコーダーに相手の映像が映っていた場合大きな証拠になります。

被害者が証言できない場合

交通事故で大きなけがを負ってしまうと、事故に関する証言が難しくなり、被害者が証言できない場合、加害者の意見のみで過失割合が決定する可能性がでてきます。
被害者の車にドライブレコーダーがついている場合、被害者の代わりにドライブレコーダーの映像が証拠として力を発揮します。

ドライブレコーダーを有効に活用するのは弁護士

ドライブレコーダーに証拠が残っていたとしても、扱えなければ意味がありません。証拠として上手く扱ってくれるのが弁護士です。被害者の場合、ドライブレコーダーの証拠によって過失割合が変わり、賠償額の金額も変わります。
加害者の場合、処罰が軽くなるかもしれません。一度弁護士と相談してみることをおすすめします。

ドライブレコーダーによって不利になるケース

もしも、自分が運転している車の速度が制限を大きく超えていたとしたらどうなるでしょうか。流れに乗っているのであれば問題になりませんが、時速30キロもオーバーしていると厳しくなります。
本来であれば20%程度の過失で済む場合でも、それ以上の責任を問われるかもしれません。

ドライブレコーダーの提出は任意

ドライブレコーダーの提出は任意のため、提出したくない場合はしなくても問題ありません。ただし、ドライブレコーダーの提出を求められたにもかかわらず、拒否すると令状で差し押さえられる可能性があります。
相手の言い分が真実として認定され、20万円以下の過料が課せられる可能性もあるため、提出を求められたら素直に応じたほうが無難です。

ドライブレコーダーの映像を確認する方法を理解しておかないと大変なことに

意外と多いのがドライブレコーダーを取り付けたままになっているケース。また、取り付け当初は問題なくても、記録媒体に何度も上書きしているうちに記録できなくなってしまうことがあります。
ドライブレコーダーを取り付けたら定期的に映像がきちんと残っているか確認しましょう。その際、信号の色や周囲の車のナンバーなどがきちんと映っているのか確認しておくと安心です。
ドライブレコーダーの記録媒体として使われるSDカードは消耗品です。2年に1度は交換したほうがいいでしょう。

ドライブレコーダーの映像は取扱いには注意

ドライブレコーダーの映像は取扱いに注意しましょう。
SNSや動画サイトなどで、あおり運転の動画をアップしている人が見受けられますが、動画にはドライバーや車種、ナンバープレートが映っており、肖像権の侵害やプライバシー権の侵害で訴えられる恐れがあります。
肖像権とはみだりに自己の容姿などを撮影されない権利です。民法では違反した場合、写真や動画の削除が求められ、賠償金が請求されます。
ただし、憂さ晴らしや仕返しの側面がある場合に限り、適用されるもので、撮影方法や動画のアップ目的によっては、当てはまらないケースも。例えば、あおり運転による妨害行為が事実だと証明されたうえ、迷惑行為の抑止と判断できれば罪に問われることはありません。
ですが、SNSや動画サイトにアップする行為が、社会的な制裁を下す私刑と判断される可能性が高いとされています。
万が一、あおり運転を見かけて撮影した場合、SNSや動画サイトにアップするのではなく、110番通報や警察本部の窓口#9110に通報するか、近くの警察署に情報提供するといった方法を取るのがいいでしょう。

ドライブレコーダーより先に義務化となったバックカメラ

ご存じの方も多いと思いますが、国土交通省は2021年6月に保安基準を改正し、2022年5月以降に発売される新型車に「後退時車両確認装置」を装着することを義務付けました。既存モデルの新車については2024年5月からになっています。一方、すでに所有されている車についてはバックカメラの装着義務はありません。
後退時車両確認装置とは、国土交通省の資料にはバックカメラや検知システムまたはミラーと記載されています。検知システムとはバックソナーと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
バックソナーとは車両の四隅などについている丸いチップのようなもので、超音波を出して反射して戻ってくるまでの時間の距離を測定し、この距離に応じて警報を鳴らすシステムです。
装着義務化の背景は、車が後退時における事故の多発にあります。駐車場などで子どもを先に車に下ろし、駐車スペースに子どもが入ってきてしまい、轢かれてしまうという事故が絶えません。
公益財団法人「交通事故分析センター」によると2021年の後退時の事故件数は1万6,400件にものぼります。
また、最近の車はデザインを重視しており、後方視界が悪い車種も存在します。直視で確認しようとしても、後方がよく見えないという経験があるのではないでしょうか。
こうした事故の多発を受けて、バックカメラの装着が義務化されました。乗用車、トラック、バスなど多くの車両が対象となります。
バックカメラは後付け可能なので、安全性の観点から後付けをおすすめします。

バックカメラ装着義務化の懸念点

これまでオプションだったバックカメラを装着するのは、コスト増加の懸念があります。バックカメラを搭載する際、モニターとしてカーナビとセットで販売されるケースが多いですが、後退時車両確認装置はカーナビとの連携を要件としていないとあります。
これはバックカメラが必要というわけではなく、バックソナーで死角や後部に人や障害物が認識できればよいという解釈ができます。
他にもバックカメラの耐久性や位置も気になるところです。カメラの設置場所は法律で定められる保安基準の要件を満たせばメーカーで決定できます。経年劣化の対応は、メーカーの品質責任で対処されるとなっています。